方言の体温

text by 赤様

沖縄の島々で使われてきた伝統的な方言のことを、
「しまくとぅば(島言葉)」と言います。
それに対して、日本本土で話される標準語のことを、
「ヤマトグチ」と言います。

でも、最近は地元で生まれて育った人でさえ、
しまくとぅばで喋る人は少なくなり、
両方がごちゃごちゃになった
「ウチナーヤマトグチ」を使う人がほとんどで、
それゆえ、しまくとぅばが絶滅の危機にある、
というニュースを見ました。

これは、あまり大きな話題になっていませんが、
世界遺産でおなじみのユネスコが、
しまくとぅばを絶滅危惧に指定したほど、危機的な状況なのだそうです。

しかも、しまくとぅばというのは1種類ではなく、
奄美語、国頭語、宮古語、八重山語など、たくさんの種類があり、
地域が違うと、言っていることがわからないときもある、
というから驚きです。

僕は方言が好きで、
全国にいろんな方言があることが面白いことだと思っています。
地元の言葉も使える人を、ある意味羨ましいとさえ思うくらいです。

それってバイリンガルじゃん?
(「じゃん」とは僕が育った横浜の方言と言われていますが・・・)
なんて思ってしまいますが、
方言って、言語(日本語やフランス語などのこと)ではないですよね?
そう考えると、方言と言語の違いって何だろう?
という疑問が湧いてきませんか?

以前、僕が受験生のときに、
金田一春彦さんの本で読んだのですが、
それによると、言語なのか方言なのかの定義は、
方言を喋る地域の人々が標準語を理解できるかどうか、
という基準で決まるのだそうです。

どういうことかと言うと、
TVやラジオなどのメディアでは、
標準語(というか関東の言葉)が使われていますが、
方言を使うどの地域の人々もみんな標準語が理解できるので、
日本では「日本語」というひとつの言語であり、
各地域に方言がたくさんある、
ということになるのだそうです。

でも、方言を使うある地域の人たちが、
標準語を理解できなければ、
それは方言ではなくて独立した言語になるのだそうです。

それは、沖縄のような標準語とは大きく違う方言でなくても、
標準語と関西弁くらいの違いでも独立した言語になるのだそうです。
なんだかおもしろいと思いませんか?

僕には宮古島に友達がいます。
彼が東京にいたときに、
宮古島の同級生との宴に
連れて行ってもらったことがありました。

僕ひとりだけナイチャー
(沖縄の方言で「内地(日本本土)の人」の意)で、
まったく言葉がわかりません。

その友人に通訳してもらったのですが、
彼らはそれを煩わしく思わず、
温かく迎えてくれたのは何より嬉しかったことで、
しまくとぅばが、その心地良さを助長していたようにも思います。

僕は方言の独特の言い回しに
体温を感じることがあるのですが、
もしかしたら、その土地で育った人々の温かみや愛着が、
方言には含まれているような気がしてなりません。
方言を操る人は、
それを失わないようにしてほしいと僕は思います。

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このページは、cmemberが2014年12月12日 08:54に書いたブログ記事です。

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