ノーベル賞に思うこと

text by 赤様


大隅良典さんのノーベル賞受賞が決まった。


これまで、何人ものノーベル賞受賞者のインタビューを見てきて、

僕が思うのは、

みなさん、かなりお年を召しているのに、

いい意味で子どもっぽさがあるというか、

ピュアな感じがすると思うのだが、

どうだろうか。


知らないからこその好奇心というか、

その先に何があるのだろうというワクワク感というか、

そういうものが彼らを動かしているのだろうなと、

僕は感じる。


インタビューの中で大隅さんは、

「本当にサイエンスというのはゴールがなくて、

とくに生命科学は「これがわかったからすべてがわかった」

という状況というのはほとんどないんだ」と言っていた。


ひとつの「なぞ」が解決すると、また次の「なぞ」が現れる。

そんな「なぞ」解きが、

研究者にとってはこの上ない面白さだと思う。


誰もが子どもの頃に持っていた好奇心を、

一般には老人と呼ばれる年齢まで持ち続けている。

それが僕が感じた、彼らの子どもっぽさの正体なのだろう。


しかし、このような研究に対する現状は厳しいらしい。

日本の大学や研究施設の多くは、

国からの研究費がどんどん削減されていて、

欧米とは比較にならないほど少ないそうだ。


IPS細胞でノーベル賞を受賞した山中教授が、

研究を理解してもらって多くの寄付をいただくことも僕らの仕事だと、

以前どこかの番組で言っていた。


高速増殖炉もんじゅが1日で維持費が5000万かかるそうだが、

お金の使い道ってこれでいいのだろうかと思ってしまう。


また、時間の面でも理解が必要で、

効率とか速さとかを要求されるような昨今だが、

大きな時間をかけないと解明できないというモノは、

まだまだたくさんあって、

そういうものも大事にしていかないと、

成しえないことがたくさんあるんだということを、

この受賞で、改めて示したような気がする。


研究は成果が出るまでには、

それはそれは長い時間と大きなお金が必要だ。

となると、

今後、日本からのノーベル賞受賞者は、

もしかしたら減っていってしまうかもしれない。


そうならないためにも、

僕らは、様々な事への関心が必要なのだと思う。

経済、経済と、目先の事ばかりに目が行ってしまいがちな昨今だが、

そんな政策ばかりを求めていると

いずれ人類を病から救う研究も成り立たなくなるかもしれない。


いずれにせよ、日本の研究者の方々には、

どんな状況にも負けずに、

自身の好奇心を貫いていける機会が増えることを願いたい。

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このページは、cmemberが2016年10月 7日 08:57に書いたブログ記事です。

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