陸王を支えるランナーたち

text by 赤様

ドラマ「陸王」が話題になっている。
ご存知、池井戸潤の小説をドラマ化したものだ。

資金繰りに悩む老舗足袋屋の主人が、
その技術を生かしてランニングシューズの開発に挑む。
あるランナーにそのシューズを提供し、
企業再生に賭けるという物語。

日曜夜9時というとてもいい時間に放送されていて、
ご覧になっている方々も多いだろう。

10月に始まった番組は12月にクライマックスを向かえるが、
そのままその勢いを、
元日のニューイヤー駅伝に繋げようという、
TBSの力の入れようが窺える。

そんな事をここで取り上げようと思っている僕は、
実は、このドラマを見ていない。

でも、陸上競技好きな仲間からは、
撮影に関する様々な情報が入ってきて、
それだけでもなんだか面白いなと思っている。

そのうちのひとつがロケのエキストラ。
選手役の出演者には、
トップクラスの本物の選手が多く出演している。

ドラマでは、まったく名前も紹介されなかったり、
何人かは実名で出演していたりもするようだが、
いずれもかなりの実力者ばかり。
実業団の全国大会に出場した選手だったり、
数年以内に必ず箱根駅伝を走るであろう青学の1年生もいた。

スポーツドラマの収録では、
大勢の観衆をどうやって集めるかというのも
難しいところ。
これもランナー仲間が横の繋がりで協力しあっている。

番組でも独自に募集をしているようだが、
ランナーそれぞれがSNSや先輩後輩のツテを使って、
あの観客集めに一役買っているようだ。

実際に大会の様子を再現する場合、
勝手を知っている者の応援の方が、
よりリアル感があるのは察しのとおりで、
そんな点では大いに貢献しているのではと思える。

マラソン大会のシーンでは、
多くの無名な市民ランナーがスタートラインに並んだそうで、
寒空の中ランニングシャツ1枚で、
現場のOKの掛け声を待ったのだろう。

実業団チームのコーチやトレーナーが、
ランナー役の出演者の身体のケアにあたったという話しも
伝わってきた。

当然彼らの名は、
ドラマのエンドロールには出てこない。
しかし、そんな行動から、
駅伝や陸上競技の文化を支える熱い思いが理解できて、
誇りに思えるところでもあった。

陸上競技というのは、
トップ選手と同じ大会に一般市民が出場できるケースがとても多く、
有名選手と市民との距離が近いスポーツだと思う。

そんなトップ選手には、特別な控え室があったり、
マラソン大会でスタート時間まで寒さを凌げるなど、
ズルいと思ってしまうことも多々あること。

でも、チームから引退を勧告されたり、
メーカーからのサポートが突然なくなったりと、
トップ選手ならではの厳しい環境がしっかり描かれていて、
そんな彼らなりの苦労も、
このドラマでよくわかったと言う声もあった。

あまりドラマや映画を見ない僕が、
そんな話しに触れるたびに、
再放送された暁には僕もちゃんと見ようかなと、
思う気持ちが芽生え始めている。

でもそれよりも何よりも、
ふだん陸上競技に縁がない方々から、
陸王を通して陸上競技に意識が向けられていることが、
なんとも嬉しく思えてならない。

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このページは、cmemberが2017年12月 8日 09:00に書いたブログ記事です。

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